夫婦関係において、性行為のタイミングや頻度を巡るすれ違いは少なくありません。
「誘っても断られてしまう」
「相手を傷つけたくないけれど、どうしてもその気になれない」
「以前は自然に触れ合えていたのに、今ではそんな時間もなくなってしまった」
このようなお悩みを抱えているご夫婦も多いのではないでしょうか。
セックスレスの問題は、単に性欲の強さや頻度の違いだけではありません。
相手から拒否されたことで傷つく人もいれば、応じられないことに悩み、プレッシャーを感じている人もいます。
また、性行為に対する考え方や愛情表現の違い、日頃の夫婦関係に積み重なった不満などが影響していることもあります。
大切なのは、男性だから、女性だからと考えるのではなく、拒否する側・拒否される側、それぞれの気持ちを理解することです。
今回は、夫婦のセックスレスが起こる心理的な背景と、すれ違いを改善するための具体的な方法についてお話しします。
セックスレスで拒否される側が感じる心理
性行為を求めても断られることが続くと、単に欲求が満たされないというだけでなく、さまざまな感情が生まれることがあります。
自分に魅力がないのではないかという不安
「もう異性として見てもらえていないのではないか」
「自分に魅力がなくなったのではないか」
このように、自分自身の価値や魅力を疑ってしまう方もいます。
特に、性行為を愛情表現の一つとして大切にしている方にとっては、拒否されることが自分自身を否定されたように感じられる場合もあります。
愛情不足や孤独感
「もう愛されていないのではないか」
「夫婦なのに、どうしてこんなに寂しいのだろう」
性行為を通じてパートナーとのつながりや安心感を得ている方は、拒否されることで心の距離まで感じてしまうことがあります。
そのため、セックスレスの問題が、やがて夫婦関係全体への不安につながる場合もあります。
期待が満たされないことへの不満
「自分の気持ちを理解してもらえない」
「夫婦なのだから、もう少し向き合ってほしい」
このような思いが積み重なると、相手に対して不満や怒りが生まれることもあります。
しかし、拒否された寂しさや悲しみをうまく伝えられず、つい相手を責めるような言い方になってしまう方もいます。
拒否される側が本当に求めているのは、性行為そのものだけでなく、愛情や安心感、相手から必要とされている実感である場合もあるのです。
セックスレスで拒否する側が感じる心理
一方で、性行為を拒否する側にも、さまざまな悩みや葛藤があります。
疲れやストレスによって気持ちが向かない
仕事や家事、育児などで心身ともに疲れていると、性行為に気持ちが向かなくなることがあります。
「相手のことは嫌いではないけれど、今はそんな気持ちになれない」
という場合も少なくありません。
また、睡眠不足や体調の変化、ホルモンの影響、痛みなど、身体的な理由が関係していることもあります。
性行為へのプレッシャー
相手から求められるたびに、
「また断ったら機嫌が悪くなるかもしれない」
「応じなければ夫婦関係が悪くなるのではないか」
と不安になる方もいます。
このような状態が続くと、性行為そのものが負担になってしまうことがあります。
さらに、ハグやキスなどのスキンシップでさえ、「この後、性行為を求められるのではないか」と警戒してしまう場合もあります。
日頃の夫婦関係への不満
実際のご相談では、性行為そのものよりも、日頃の夫婦関係に問題がある場合も見受けられます。
例えば、
- 普段から自分の気持ちを理解してもらえない
- 家事や育児の負担が偏っている
- 夫婦喧嘩が多く、気持ちが冷めている
- 相手に対する不満が解消されていない
- 日常生活で思いやりや愛情を感じられない
こうした状態では、身体的な触れ合いを求められても、気持ちがついていかないことがあります。
拒否する側にとっては、まず日頃の夫婦関係を改善してほしいという思いが隠れている場合もあるのです。
セックスレスを生む原因は、性欲の違いだけではありません
夫婦のセックスレスには、さまざまな要因が関係しています。
① コミュニケーション不足
性について話し合うことに抵抗があり、お互いの気持ちを確認できていない場合があります。
そのため、拒否された側は「愛されていない」と思い込み、拒否した側は「どうしてわかってくれないのだろう」と感じてしまいます。
② 相手の気持ちを決めつけてしまう
「拒否するということは、もう愛情がないのだろう」
「性行為のことばかり考えていて、私の気持ちを理解していない」
このように、相手の本当の気持ちを確認しないまま、思い込んでしまうことがあります。
しかし、実際にはお互いが違う理由で悩んでいる場合もあるのです。
③ タイミングや生活環境の違い
仕事や育児による疲労、生活リズムの違いなどから、性行為のタイミングが合わなくなることもあります。
また、出産や加齢、健康状態の変化によって、性欲や身体的な反応が変化することもあります。
④ 愛情表現の違い
人によって、愛情を感じる場面は異なります。
例えば、性行為やスキンシップによって愛情を感じる方もいれば、日頃の会話や思いやり、家事への協力などによって愛情を感じる方もいます。
そのため、一方は「もっと触れ合いたい」と思っていても、もう一方は「まず普段の生活で大切にしてほしい」と感じていることがあります。
愛情がないのではなく、愛情を感じる方法が違っている場合もあるのです。
性格や育った環境がセックスレスに影響することも
私が夫婦問題のカウンセリングで大切にしているのは、表面的な問題だけでなく、なぜそのような考え方や感情が生まれるのかという背景を理解することです。
性行為に対する考え方や愛情表現にも、性格や育った環境、これまでの経験などが影響している場合があります。
例えば、幼い頃から愛情表現が少ない家庭で育った方は、身体的な触れ合いや気持ちを言葉にすることに抵抗を感じる場合があります。
一方で、愛情を確認することへの不安が強い方は、性行為を拒否されることで、必要以上に自分が否定されたように感じてしまうこともあります。
また、
「夫婦なのだから性行為に応じるべき」
「愛しているなら拒否しないはず」
「夫婦なら言わなくても気持ちを察するべき」
というような、「〜すべき」という考え方(MUST思考)が強いと、自分とは違う相手の気持ちを受け入れにくくなることもあります。
しかし、夫婦であっても性行為への気持ちや希望はそれぞれ違います。
大切なのは、自分の考えを相手に押しつけることではなく、お互いの違いを理解することです。
セックスレスを改善するための5つの方法
① お互いの気持ちを言葉にして伝える
性について話し合うことは、難しいと感じるかもしれません。
しかし、相手を責めるのではなく、自分の気持ちを伝えることが大切です。
例えば、拒否された側は、
「断られると、少し寂しい気持ちになるんだ。あなたを責めたいわけではなくて、今の気持ちを知りたい」
と伝えてみましょう。
一方、拒否する側は、
「あなたのことが嫌いなわけではないけれど、今は疲れや気持ちの問題で応じられないことがあるの」
というように、できる範囲で理由を伝えることも一つの方法です。
お互いの気持ちを知ることが、すれ違いを減らす第一歩になります。
ただし、相手が話したくないときに、無理に答えを求めることは避けましょう。
② 性行為を目的としないスキンシップを大切にする
ハグや手をつなぐなど、日常的な触れ合いが安心感につながることもあります。
ただし、ここで大切なのは、スキンシップが必ず性行為につながるわけではないという安心感です。
拒否する側がプレッシャーを感じている場合には、まず性行為を求めない触れ合いから始めることも考えられます。
もちろん、スキンシップ自体に抵抗がある場合は、無理に行う必要はありません。
会話や一緒に過ごす時間など、お互いが心地よいと感じられる関わり方を見つけていきましょう。
③ タイミングや生活環境を見直す
忙しい日々の中では、性行為のタイミングが合わないこともあります。
そのため、二人でゆっくり過ごす時間をつくることも一つの方法です。
ただし、「この日には必ず性行為をする」と決めてしまうと、かえって負担になる場合があります。
まずは、夫婦で会話をしたり、一緒に過ごしたりする時間を増やすことから始めてみましょう。
また、家事や育児の負担が大きい場合には、生活環境そのものを見直すことも必要です。
④ 日頃の夫婦関係にある不満を整理する
セックスレスを改善しようとしても、日頃の夫婦関係に不満が積み重なっている場合、なかなか気持ちが向かないことがあります。
例えば、
「普段は私の話を聞いてくれないのに、性行為だけ求められる」
「家事や育児に協力してくれないことが不満になっている」
という場合には、まずその問題を改善することが必要かもしれません。
性行為の頻度だけを問題にするのではなく、夫婦関係全体の中で何がすれ違いを生んでいるのかを考えることが大切です。
⑤ 相手を責めず、必要に応じて専門家のサポートを受ける
「どうして拒否するの?」
「どうして私の気持ちをわかってくれないの?」
と責めるのではなく、
「どうしてそう感じるのか、理解したい」
という姿勢を持つことが大切です。
ただし、長年続いているセックスレスの場合、お互いに不満や傷ついた気持ちが積み重なり、二人だけでは話し合いが難しくなっていることもあります。
そのような場合には、第三者のサポートを受けながら、問題を整理することも一つの方法です。
また、痛みや体調の変化、性機能に関する悩みがある場合には、医療機関への相談も検討しましょう。
セックスレスでも夫婦関係は修復できるのでしょうか?
セックスレスが続いているからといって、必ずしも夫婦間の愛情がなくなっているわけではありません。
しかし、拒否する側と拒否される側が、お互いの気持ちを理解できないまま過ごしていると、次第に心の距離が広がってしまうこともあります。
大切なのは、どちらか一方が我慢して相手に合わせることではありません。
性行為は夫婦であっても、お互いの意思を尊重することが基本です。
そのうえで、なぜ今の状態になってしまったのかを理解し、日頃の夫婦関係や愛情表現を見直していくことが大切です。
セックスレスの改善とは、必ずしも性行為の回数を増やすことだけではなく、お互いが安心して気持ちを伝えられる関係を取り戻すことでもあるのです。
セックスレスの悩みも、夫婦関係の原因を知ることから
私は、セックスレスの問題を、単に性欲の違いや男女の考え方の違いとして捉えるのではなく、性格や育った環境、価値観、愛情表現の違い、日頃の夫婦関係など、さまざまな角度から見ていきます。
なぜ相手は性行為を拒否するようになったのか。
なぜ拒否されることで、これほど傷ついてしまうのか。
お互いの気持ちがすれ違う原因は、どこにあるのか。
こうした背景を整理し、ご夫婦それぞれの状況に合わせた具体的な改善方法をご提案しています。
「セックスレスについて、どう話し合えばよいかわからない」
「拒否されることがつらい」
「相手を傷つけたくないけれど、性行為に応じることが負担になっている」
そんなお悩みを抱えている方は、一人で悩まずご相談ください。
夫婦関係を改善するために大切なのは、どちらかが我慢することではなく、お互いの気持ちと、その背景にある問題を理解することです。
その第一歩を、一緒に考えていきましょう。
セックスレスの実態をデータから知りたい方へ
セックスレスが夫婦関係にどのような影響を与えているのか、実際のアンケート結果や離婚との関係について知りたい方は、ユナイテッドクリニック様が公開している以下の記事も参考になります。
▶セックスレスによる離婚率は?結婚歴のある男女300名に聞いた実情 |【公式】ユナイテッドクリニック
心理的な視点だけでなく、客観的な調査データもあわせて知ることで、ご夫婦の現状をより冷静に見つめ直すきっかけになるでしょう。
カテゴリー: 夫婦問題カウンセラーのコラム

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